2013年12月31日星期二

銀杏BOYZの新作はポップにしてエクストリーム

 1月15日に9年ぶりのニューアルバム『光のなかに立っていてね』『BEACH』(2枚同時発売)をリリースする銀杏BOYZの周辺が、発売前から騒然となっている。  2013年11月15日、ニューアルバムの完成がアナウンスされるのと同時に、メンバーのチン中村(ギター)と安孫子真哉(ベース)の脱退を、本人のコメントとともに発表。その後、各音楽誌に掲載されたインタビューでは、チン中村が2012年の夏、安孫子真哉が2013年の春、レコーディング中にそれぞれバンドから離脱していたことが峯田和伸によって明かされた。約4年間スタジオにこもってレコーディングを続けていた銀杏BOYZだったが、最後の数ヶ月は残された録音素材を元に峯田和伸と村井守(ドラム)が2人きりでアルバム完成までこぎつけたという。続いて、12月22日には、最後まで残っていたメンバーの村井守がUstream生放送中に2014年1月15日付けでの脱退を発表。9年ぶりのニューアルバムがリリースされるという記念すべき日に、銀杏BOYZはフロントマンの峯田和伸、ニューバランス 5741人だけのユニットになってしまうのだ。  騒然となっている理由は、そんなメンバーの脱退劇だけでない。スタジオ盤『光のなかに立っていてね』とライブリミックス盤『BEACH』、両作品をいち早く作品を聴いた音楽関係者の間では、過去の銀杏BOYZの作品とはまったく異なるそのサウンドに賞賛と戸惑いの声がうずまくことに。アルバムの収録曲が発表されると、ファンの一部で既発曲の多さへの失望が広がったが、ノイズ&打ち込みビートによって完全に生まれ変わった「I DON’T WANNA DIE FOREVER」(『光のなかに立っていてね』収録。2007年にリリースされたシングル「あいどんわなだい」の新バージョン)がラジオでオンエアされると、そんな声も打ち消された。  12月24日、クリスマスイブの夜には、峯田和伸自身が監督した「東京終曲」(『BEACH』収録)のミュージックビデオがネットで公開。約43分(曲が流れるのは26分以上経ってから)にわたってバイオレンス&どぎつい描写が展開していくその内容と、ノイズによってライブトラックがいびつに変様したそのサウンドに、またもや賛否両論がわきあがる。この原稿がアップされる正月には、「ぽあだむ」(『光のなかに立っていてね』収録)のミュージックビデオも続いて公開される予定だ。  ノイズ、インダストリアル、破壊的なエレクトリックビート、メンバーを精神的に追いつめた極限状態のレコーディング。アルバムのリリース前から物々しい情報が飛び交っている銀杏BOYZのニューアルバム。だが、まるでフリッパーズ?ギターの「BLUE SHININ' QUICK STAR 」を彷彿とさせるようなポップで疾走感溢れる「ぽあだむ」を聴いてもらえばわかるように、銀杏BOYZは決してポップであることから逃走しようとしたわけではない。 「俺、18から曲を書き始めて、この曲が一番コード数の多い曲だったのね。コードが20何個あるっていう、自分にとって完全に初めての感覚で、こんなに曲作りって楽しいんだと思って。この『ぽあだむ』のポップさをより引き立たせるために、ノイズが必要だと思ったの」 「『ぽあだむ』を作ってる時はね、フリッパーズ?ギターのことは考えた。俺が高校の時に聴いてた渋谷系の空気感っていうかさ、あれをそのまま俺が出すのは無理だからさ。今の空気感をそこに入れて、なんかそういうポップでキラキラしたものをやりたかったの。あの曲は、ニューバランス 996とにかく曲作ってて楽しかったな。最初はアコギで作ってたんだけど、楽しくてさ。これからは、こういう曲をいっぱい作りたいなって思ったよ」  先日、自分が峯田和伸にインタビューした時のそんな発言(いずれも「MUSICA」2014年1月号から引用)からもわかるように、今回のニューアルバムは9年間待ち続けていたファンを拒絶するような作品ではないし、たった1人にはなってしまったけれど、今も峯田和伸は銀杏BOYZの未来だけを見ている(同じインタビューの中では「ソロはやりたくない。銀杏BOYZを続けていく」とも明言している)。あまりにもエクストリームな作品であるが故に、リリースされてからも、きっとまた賛否両論が巻き起こるであろう『光のなかに立っていてね』と『BEACH』の両作品。しかし、2014年の日本の音楽シーン、最初にして最大の問題作であることだけは間違いない。手元に音が届いてから一ヶ月以上経つが、それ以来、自分は一日も『光のなかに立っていてね』を聴かない日はない。

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